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スタートアップのMVP開発:外注のメリデメ

スタートアップの世界では、アイデアを形にする速度が成功の鍵を握ることがあります。多くの場合、その第一歩はMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)の開発です。しかし、自社にエンジニアリングチームを持たないスタートアップにとって、MVPの開発は大きな課題となります。そこで浮上するのが、システム開発会社への外注という選択肢です。

本記事では、MVPの外注開発について、予算感やメリット・デメリットを詳しく解説し、経営者の皆様の判断材料となる情報をお届けします。



MVPの外注開発:予算感

外注開発の予算は、プロジェクトの規模や複雑さ、開発会社の実績やロケーションなどによって大きく変動します。ここでは、3つの具体的な例を挙げて、おおよその予算感をお伝えします。以下はあくまでも一般的な予算感であり、弊社ではリクエストに応じてより最適化した予算と納期をご提案します。

  1. シンプルなECサイト(約350万円) 基本的な商品リスト、検索機能、カート機能、決済システム連携を備えたECサイトの場合、おおよそ300万円程度の予算が必要です。この価格帯では、既存のECプラットフォームをベースにカスタマイズを加える形で開発が行われることが多いでしょう。 開発期間:3ヶ月 主な機能:

    • 商品リスト・検索機能

    • ユーザー登録・ログイン機能

    • カート機能

    • 決済システム連携

    • 基本的な管理画面


  2. モバイルアプリ(SNS系)(約800万円) 写真共有やメッセージングなどの基本機能を持つSNS系モバイルアプリの場合、iOS・Android両対応で約800万円程度の予算が必要になることが多いです。この価格帯では、基本的なUX/UIデザイン、サーバーサイド開発、そしてある程度のスケーラビリティを考慮した設計が含まれます。 開発期間:6ヶ月 主な機能:

    • ユーザープロフィール作成・編集

    • 写真/動画のアップロード・共有

    • フォロー機能

    • タイムライン表示

    • いいね・コメント機能

    • プッシュ通知

    • 基本的な検索機能

    • 管理者用ダッシュボード


  3. B2Bサービス向けSaaS(約1500万円) 中小企業向けの顧客管理・営業支援ツールなど、比較的複雑な機能を持つB2B向けSaaSの場合、約1500万円程度の予算が必要になることがあります。この価格帯では、高度なデータ分析機能やサードパーティ製品との連携、セキュリティ対策なども含まれます。 開発期間:6〜9ヶ月 主な機能:

    • 顧客データベース管理

    • 営業活動トラッキング

    • レポート・分析機能

    • カレンダー連携

    • メール連携

    • 請求書生成

    • 権限管理

    • API提供

    • 高度な検索・フィルタリング機能

    • カスタマイズ可能なダッシュボード


これらの予算例は、あくまで目安であり、実際の開発費用は要件の詳細や開発会社との交渉によって変動します。また、初期開発費用だけでなく、リリース後の保守・運用費用も考慮に入れる必要があります。


外注開発のメリット

  1. 専門知識とスキルの活用 外注先の開発会社は、様々なプロジェクトの経験を持つプロフェッショナル集団です。彼らの専門知識やスキルを活用することで、高品質な製品を効率的に開発できる可能性が高まります。特に、最新の技術トレンドやベストプラクティスに関する知見は、スタートアップにとって貴重な資産となります。

  2. 時間とリソースの節約 自社でエンジニアチームを構築する場合、採用や教育に多大な時間とコストがかかります。外注を活用することで、それらのプロセスをスキップし、より迅速にMVPの開発に着手できます。また、開発に必要なインフラやツールの準備も外注先が担当するため、初期投資を抑えられる利点があります。

  3. スケーラビリティと柔軟性 プロジェクトの規模や要件の変更に応じて、比較的容易にリソースを調整できるのも外注の利点です。繁忙期には追加のエンジニアを投入し、開発が落ち着いた後は契約を縮小するなど、柔軟な対応が可能です。

  4. リスクの分散 開発プロジェクトには常に遅延やバグなどのリスクが付きまといます。外注の場合、これらのリスクの一部を開発会社と分担できます。契約内容にもよりますが、品質保証やサポートなども含めることで、リスクをさらに軽減できる可能性があります。

  5. 集中と専念 MVPの開発を外部に委託することで、スタートアップのコアチームはビジネスモデルの検証や市場調査、初期ユーザーの獲得など、他の重要なタスクに集中できます。技術的な詳細に煩わされることなく、製品のビジョンや戦略に専念できるのは大きなメリットです。


外注開発のデメリット

  1. コストの増大 質の高い開発会社との協業は、短期的には自社開発よりもコストが高くなる可能性があります。特に、要件の変更や追加機能の実装が発生した場合、予想以上に費用が膨らむリスクがあります。

  2. コミュニケーションの課題 外部チームとの協業では、意図や要件を正確に伝えることが難しい場合があります。特に、技術的な知識が乏しい場合、開発チームとの認識のズレが生じやすくなります。これは、製品の質や開発スピードに影響を及ぼす可能性があります。

  3. コントロールの喪失 外注の場合、開発プロセスや技術選択に対する直接的なコントロールが限定されます。これは、製品の方向性や品質に影響を与える可能性があり、特に技術がコアコンピタンスとなるスタートアップにとっては大きなデメリットとなり得ます。

  4. 知識の蓄積と継続性の課題 外部チームが開発を担当することで、技術的な知識やノウハウが社内に蓄積されにくくなります。これは、長期的な製品開発や保守において課題となる可能性があります。また、契約終了後の継続的な開発やサポートについても慎重に検討する必要があります。

  5. セキュリティとIP(知的財産)の懸念 機密情報や重要な技術を外部と共有することになるため、情報漏洩のリスクが高まります。また、開発された技術やコードの所有権に関して、明確な取り決めが必要になります。これらの点で適切な対策を講じないと、将来的に大きな問題に発展する可能性があります。

経営者の判断ポイント

MVPの外注開発を検討する際、以下のポイントを慎重に評価することをおすすめします:

  1. 自社の技術力と長期的なビジョン 技術がコアコンピタンスとなる事業の場合、外注は短期的な解決策として有効かもしれませんが、長期的には自社での技術力構築が重要になります。一方、技術はあくまでツールである場合、外注を積極的に活用し、コアビジネスに集中するのも一つの戦略です。

  2. 時間とコストのトレードオフ 市場投入のスピードと開発コストのバランスを見極めることが重要です。競合に先んじてMVPをリリースすることの価値と、それにかかるコストを比較検討してください。

  3. 開発会社の選定 単に価格だけでなく、過去の実績、技術力、コミュニケーション能力、契約条件などを総合的に評価し、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の鍵となります。

  4. 段階的な開発アプローチ すべてを一度に外注するのではなく、コアとなる機能から段階的に開発を進めることで、リスクを軽減しつつ、柔軟に方向性を調整できます。

  5. 知識移転と内製化の計画 外注開発を選択する場合でも、将来的な内製化を見据えて、知識やスキルの移転を計画的に行うことが重要です。契約に知識移転のプロセスを含めることも検討しましょう。


結論

MVPの外注開発は、エンジニアリソースを持たないスタートアップにとって、迅速に製品を市場に投入するための有効な選択肢の一つです。しかし、それはあくまでも選択肢の一つであり、自社の状況や長期的なビジョンに照らし合わせて慎重に判断する必要があります。

コストと時間、リスクとメリットを十分に比較検討し、必要に応じて専門家のアドバイスも受けながら、自社にとって最適な開発アプローチを選択してください。MVPの成功は、スタートアップの未来を大きく左右する可能性があります。慎重かつ戦略的な判断が、御社の成功への第一歩となることを願っています。


最後までお読み頂きありがとうございます。当社ではプロトタイプ(MVP)をいち早く作ってビジネス仮説の検証を行いたいスタートアップのためにコスト、開発スピード含めて最適なご提案。是非ご相談下さい。



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